2020年の大学入試改革では、これまでの教育で必要とされていた「知識・技能」に加えて、新たに「思考力」が評価項目の1つとなります。社会の課題が多様化する中で、思考を駆使して問題解決に導く力は、教育現場だけではなく社会人が仕事をするうえでも重要とされています。
思考力は、計算力や語学力などと異なり、現時点ではその表現方法の一般的な基準がはっきりと定まっていません。一体どういった能力なのでしょうか。どのように身につけ、どのように評価できるのでしょうか。
「思考力」とは?
ソニー・グローバルエデュケーションは、思考力を「目標達成に向けて思考フローを往来し続ける力」と定義しています。私たちが思考するとき、具体的にどのように思考しているのでしょうか。
まずは、ある問題や課題を認識(Input)してから解決(Output)するまでの思考の流れを、下の図のように3つのステージに分類します。

思考の流れを「旅行のスケジュールを決める」という課題を例に見ていきます。
【課題】旅行のスケジュールを決める
① 認識する
★ ガイドブックをチェック
★ 場所を確認
② 仮定する
★ ○○と××と△△と□□に行けるかな…
★ 帰りの飛行機に乗るには…
③ 実行する
★ スケジュール表を作る
私たちは、日々何気なくこのようなことを考えていますが、実は無意識にこの3つのステージを行き来して、あらゆる問題を解決しています。
しかし、実際の生活では、問題を解決するまでの道のりで行き詰まってしまうことがあります。例えば、③のステージで「スケジュール表を作る」がうまくいかない場合、もう一度②のステージに戻り、それぞれの場所の滞在時間や移動時間などを確認し直す必要があります。このように、目標達成に向けて3つの思考のステージを往来(ループ)し続ける力を思考力と呼びます。
思考力を高めるためには、状況に応じて適切な考え方を使い分けることが必要となります。次は、物事の考え方=思考回路に着目してみましょう。
5つの思考回路
基本的な思考の流れは同じでも、課題あるいは目的によって、必要とされる思考回路は違います。思考回路、つまり、あらゆる物事に対する特長的な考え方を5つに分類したものが、下にある5つの思考回路です。
- スキャン回路(読みとる)
問題の本質を見抜く思考回路 - クリエイト回路(ひらめく)
これまで思いつかなかった方法を思いつく思考回路 - リバース回路(逆算する)
問題を解決するにはどうすればいいか、逆算する思考回路 - ノック回路(洗いだす)
ありうる可能性をすべて洗いだす思考回路 - ステップ回路(組み立てる)
「こうすれば、こうなる」と手順を組み立てる思考回路
この5つの思考回路を前述した思考の流れに当てはめると、下の図のようになります。思考力の高い人は、それぞれの思考回路を臨機応変に使って問題を素早く解決したり、難しい課題に対して、思考の流れのループを繰り返して、解決するまで思考を続けることができます。

思考力を測りたい
思考回路診断で簡易的にあなたの得意な思考回路を知ることができます。
思考力を鍛えたい
思考力は生まれ持った能力だと思われがちですが、実は誰でも鍛えることができます。以下を参考に、日頃から思考回路をバランスよく使うことを意識して、過ごしてみましょう。
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