ソニー・グローバルエデュケーション 埼玉県と「AIを活用した学びの実践研究」を開始

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株式会社ソニー・グローバルエデュケーション(代表取締役社長:礒津政明)は、埼玉県が公募した「AIを活用した学びの実践研究」の事業者に選定され、実証研究を開始しました。この事業は文部科学省が主導する「新時代の学びにおける先端技術導入実証研究事業」として採択されたもので、埼玉県学力・学習状況調査(以下、埼玉県学調)をはじめ、小・中・高等学校に蓄積されている様々な教育ビッグデータをAIで分析し、子どもたち一人ひとりがその可能性を最大限に伸ばせる学びの実現を目指しています。

情報技術の発展に伴い、社会は急激な勢いで変化を遂げています。IoTで人とモノがつながり、生み出される膨大な情報をAIで分析し、その結果を活用することで新たな価値が生み出される社会、いわゆる「Society5.0(※1)」の実現が目指されています。そのような社会で求められる資質や能力はこれまでと異なるため、教育現場でも新たに求められる資質や能力の育成を目指して「GIGAスクール構想(※2)」などICT技術を活用した様々な取り組みが始められています。 ソニー・グローバルエデュケーションは、教育ビッグデータをAIで包括的に分析することで教育変革をより加速できると考えています。

本研究で分析データの中心となる埼玉県学調は2015年に開始した調査で、さいたま市を除く県内の公立小中学校、小学4年生から中学3年生まで約30万人を対象に毎年実施されています。調査手法に「項目反応理論(※3)」を用いたことで、子どもたち一人ひとりの「学力の伸び」を把握するとともに、質問紙調査を実施し、学習に対する意識や態度なども把握・分析していることが大きな特長です。調査データの分析からは、近年注目を集めている「非認知能力(※4)」が学力の伸びに寄与していることなどが示されています。このため、埼玉県学調と同形式の調査は県外の自治体にも普及し始めていることに加え、AI技術とかけあわせることで教育にイノベーションを興せる教育ビッグデータになると、その可能性に関心が高まっています。

本研究の推進にあたりソニー・グローバルエデュケーションは、埼玉県学調を中心とする教育ビッグデータを自社開発のブロックチェーン技術などでセキュリティや完全性を確保した上で管理し、株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所が開発した独自のAI技術「CALC(カルク)(※5)」を用いて分析します。CALCは、大規模で多様なデータから高精度に因果モデルを推定できるため、学力の伸びに直結する要因を子どもたち一人ひとりの個性に応じて導き出すことで、個別最適化された学びが提供できると考えています。これまでの分析で、例えば「ある中学1年生の読解でのつまずきが小学4年生の国語で学習する修飾語・被修飾語でのつまずきに起因していること」などが明らかになりました。また、生活や学習習慣と学力の伸びとの関係も明らかになってきています。
なお本研究ではデータの分析だけでなく、独自のシステムを用いて実証校保有データを現場の負担なく効率的に蓄積することや実証校の児童生徒を対象とした効果検証まで実施するため、今後有効性が高く、教育現場に展開しやすいソリューション構築につなげられると考えています。 また、CALCを用いた教育ビッグデータの分析については、その他の教育機関との連携も視野に入れ、より教育現場に即した分析の実現を目指します。

CALC を用いた分析の特徴
CALCの特長

一般的な相関分析結果 (左)とCALCを用いた分析結果(右)。CALCを用いることで因果関係がわかりやすく、 目的に対して的確な対策を講じることが可能になります。

CALC を用いた分析の特徴
分析イメージ

分析から得られた因果モデル(右)に一人ひとりのデータを重ね合わせることで個に応じた学びの提供が可能に なります。また、経年データを分析することで過去に遡った、あるいは将来を見据えたアドバイスも可能です。

ソニー・グローバルエデュケーションは、新しい時代に相応しい教育を常に追求しながら、次世代の 教育インフラの構築を志向し、テクノロジーを活用して教育分野にイノベーションをもたらすことに 挑戦してきました。本実証研究を契機に教育インフラを刷新し、子どもたちがそれぞれの個性に応じて 最適な学びができるよう積極的に活動していきます。

※1:Society5.0
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会。平成28年1月に政府が策定した第5期科学技術基本計画において初めて提唱。

※2:GIGAスクール構想
GIGAは「Global and Innovation Gateway for All」の略称。文部科学省による児童生徒に1人1台の学習用端末やクラウド活用を前提とした高速ネットワーク環境などを一体的に整備する計画。

※3:項目反応理論
PISA調査(OECD生徒の学習到達度調査)やTOEFLなどのテストでも使用されている手法。この理論を用いることで、出題する問題の難易度を同一の尺度で設定することができ、異なる調査間で学力の比較が可能。

※4:非認知能力
テストで計測される学力等の認知能力以外の様々な力のこと。埼玉県学調では、自制心、自己効力感、勤勉性、やり抜く力の4種類を調査している。

※5:CALC
CALCはソニー株式会社の登録商標で、ソニーコンピュータサイエンス研究所が開発した技術。
https://www.sonycsl.co.jp/tokyo/7593/


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